ネタバレありです。
感想
明らかになったことも多かったですが、また謎として残るものも多かったです。
驍宗(と思われる人物)が死んでまったという衝撃的な展開で第三巻へ続くことになったのですが、我々にできることは第一巻、第二巻、既刊を読み返しながら結末を受け入れる準備をするだけですね。
後にも書くつもりですが、このような状況になっていても天変地異や妖魔が跋扈していないというのが不思議です。(沿岸や山の中からは出てるっていう話でしたが、他の荒れた国の話と比べると少ない気がする)
王がいるだけで国が収まるというようなことを楽俊か誰だかが陽子が言っていましたが、そういう意味では今現在も収まった状態にあり、単純に政治が機能していないだけということなのかなと。
皆さんの感想もこの記事へのコメントか@ikemen_tokyo宛に是非教えて下さい。
鳩の鳴き声の謎
第一巻で出てきた「病む」と関わりがありそうな鳩の描写。鳴き声だけでしかでてこないので本物の鳩ではなく妖術なのか、妖魔なのかそういったたぐいの物なのでしょうか。
鳩の鳴き声を聞いている平仲、項梁以外にも近くにいる泰麒、徳裕、浹和にも影響でているようです。
一方、張運など阿選派の官吏には影響がないようなので、誰かが反阿選?のグループを狙っているような意図も感じられますね。
この謎は3巻以降に持ち越しです。
泰麒に何かあった
泰麒が微かに声を上げた。足が止まり、一瞬、大きく天を仰いでから、がっくりとその場に膝をついた。
床に手をついた泰麒は肩で息をしている。顔を覗き込むとなにかに驚いたように目を瞠り、床の一点を見据えていた。
「立ちくらみがしただけですから」と、言った泰麒の顔には、たしかにもう血の気が戻っていた。
最初に読んだ時はまさか驍宗が!って思ったんですが、どうやら驍宗と目されている人物が死んだタイミングとは違うみたいです。(李斎と分かれるぐらいという話)
汕子か傲濫が回復して泰麒とつながったのかな?とも考えたんですけど、それだと蓬山は南西の方角になるので、北(王宮の深部?)に向かい祈るように一礼するようになったのと関連性が見つけられないですね。
琅燦の狙いは?
- 白雉は落ちていない 驍宗は生きている
- 阿選を犯罪者、あんた呼ばわり
- 阿選に泰麒を斬るようそそのかす
- 摂理を動かさないことが肝要
- 泰麒の言っていることは一理ある
- 我々にとって、驍宗様の命を取るという選択肢は存在しない。それをしてないからこそ、阿選の天下でいられる。
阿選との関係性がよくわかりません。琅燦は琅燦で自身の目的のために動いているようですね。阿選を利用して天(この世界)の仕組みを読み解こうとしているのでしょうか?
この状況を利用しているだけで黒幕ということではなさそうです。
阿選が次の王に選ばれない理由
琅燦「しかも阿選にはほかにも選ばれえない理由がある」
乍驍宗(さく ぎょうそう)泰王。姓名は朴綜(ぼくそう)
丈阿選(じょうあせん)戴国禁軍右将軍。姓名は朴高。
どちらもウィキペディアから
これは驍宗と阿選の姓が同じというのが理由だと思うのですが、この知識は十二国記世界の中では一般的ではないのでしょうか?
楽俊や遠甫が知っていることなので宮中の官吏レベルなら知っててもおかしく無いと思うのですが。
瑞州州官の整備
泰麒が張運とやりあって士遜の解任、恵棟の瑞州州宰任命したことで瑞州に関しては泰麒の手に取り戻す光明がでてきましたね。
このあたりで出てくる泰麒の覇気みたいなものは、驍宗を庇って傲濫を下してた時と同じようなものだと考えます。やはりこの行動の先には驍宗を守るという強い意志があるのではないかと。
ここから下は整理しきれていないメモです。
- 張運
- 泰麒に禅譲の必要性を再確認 → 必要
- 泰麒は驍宗の命に対して諦めているよう 恐れを抱く周り
- 泰麒から新王践祚の公表と民の救済を持ちかけられる
- 泰麒 士遜を解任し恵棟を瑞州州宰に任じる
- 恵棟
- 六官の任命を任される
- 泰麒の護衛増員を提案し受け入れられる
- 堅品の部下、杉登の部下をあてる
- 宮中の私兵 皆白の右腕だったものの私兵
- 嘉磬を州天官長として迎える
- 項梁の官位は大僕のまま もうひとり大僕を増やし 小臣を入れ替える提案
- 小臣は午月の部下から補充
- 午月、駹淑らが瑞州司士配下に異動
- 主公の命で私兵として耶利が送られる、耶利は公式の官をもたない
- もうひとりの大僕として耶利が配属
土匪側から見た文州の乱
函養山を抑えていた土匪の朽桟から見えた文州の乱についても記載がありました。
明らかに誰かの命によって土匪が動かされていたようで結果、最後には悪役とされた土匪はすべて誅殺されている。
今回まとめるにあたり追いつかなかったのですがこの辺も時系列を表に落とし込みたいなー。
- 反乱当時、土匪のやりかたは新王に対して自分たちが悪だと言わんものだった
- 翕如からの指示がぶれはじめる
- 函養山から人払い
- 兵を狩れ
- 里を攻めよ、民を排除せよ
- 土匪をたたけ
- 翕如は誰かに命じられていたので理由を聞いてもわからなかった
- 翕如から距離をとり仲間が生き残る道をさぐった
- その中で函養山の制圧に成功
- その後、翕如も斂足も殺された
- 文州の乱で上とつるんだ奴らは消えていった
- 山からはなれていた土匪はことごとく消えている
その中で驍宗が不明になるタイミングに函養山の無人化されるような動きがあった。
- 新王になってから掘ったものは全て自分のものというお触れが出て賑わった
- 古伯が占拠された頃に函養山一帯が無人化した
- 乱の鎮圧後、閉山前までの状態に戻った その後誅伐対象となり大規模操業はできなくなった
- 当時採掘されたものは輸出用だった
- 老爺が声をかけた男 再操業前に潜り込んだ誰かが山を掘った形跡があった(火のにおいがした)
- 鑑札のないものは売れない が無いものでも買い取る闇業者がいる
そして、土匪を誅殺する国軍の中に驍宗を襲ったと見られる集団と同じ特徴の部隊がいました。
- 赤い鎧を着ていた連中は赭甲(しゃこう)と言われていた とても腕が立つ
軍の中枢にいた李斎が思い当たらないという赭甲軍。
戴国の正規軍ではないとすると、どこから来たのか、誰が呼んだのか。
この謎についても第三巻以降に持ち越しです。
驍宗の捜索、安否
李斎達は以下のように推理して捜索を続けます。
- 函養山で襲撃された
- 討ち取ったと誤認されるような大怪我だった
- 驍宗は身を守るための宝重を持っていた
- 昏倒、仮死状態に近い状態から回復して函養山を出たのではないか
- それでも単独では無理 誰かの助けがあったはず→おそらく荒民
- 危険を犯して帰陣を選ばず、回復するまでの潜伏を選んだのではないか
- 函養山を出た後は山に潜伏したのではないか
- 瑶山にあるかつての廃坑を捜索 人のいた形跡はあるが驍宗の手がかりはなし
- 函養山付近の里の誰かが匿い手助けした
- 老安という里で人数と薬の数がずっとあっていなかった
- こはく周辺は禁軍中軍(英章)に恩義を感じていた
- 砥石や油など武器の手入れに必要なものの調達を以来されていた
- 最近になって薬の数が減った 不要になったということ
- 剣か槍 5振りの依頼をうけた 冬器が無理ならよく切れるものを
- 静之と習行が老安へ向かった
様々な捜索は空振りとなり、老安の情報を手に入れ向かいますが驍宗と目される人物はすでに亡くなっていました。
ここで死んだのは本当に驍宗なのか?
驍宗にさせたくて仕方ない というような記述が多いように思える。
男が死んだのは夏頃で泰麒と李斎が別れた時期ぐらい、泰麒の意味ありげな体調不良の時期とはずれるのでこのあたりも気になります。
また証言の後、菁花と男が消えていたのも謎です。李斎たちと合流して仇をという流れになってもいいようなものを。
- 驍宗の鎧は黒に鈍銀のついたもの 死体から剥ぎ取ったというものは禁軍の鎧とまでしかわからずこれも確定できない。
- 割れた玉佩(おびだま)のかけら(ろうかん)小刀と玉佩はよほどの地位の者
- 驍宗は帯紐をつけていた
- 玉佩については確証がない 音を聞いたが 驍宗のものと言い切れない
- おそらく仙籍 生きながらえるのがありえいない怪我の状態
- 髪は白、目は紅
- 陽子ですら染めて登極前は染めて歩いていたので驍宗がそのままでいるだろうか?
- 保護されてから数ヶ月寝たきりでそれすらできない?
- 回復してからは一刻も早く里を出ようとしていた
- 主上だと思い聞いたが回答はされない 主上と呼べば応じた
- 主上ではと言い出したのは菁花
- 夏から寝込み、臓腑まで膿がまわり手の施しようがなかった
- 回生の話だと夏風邪は回復していた 大人が毒をもった
- 戴の行く末を案じていた
- 最期の言葉は「せめて台輔を」と
- 驍宗は泰麒または高荲と呼ぶ
整理しきれいていない項目
- 浮丘院の荒民
- 驍宗が消えて2ヶ月後ぐらいに甲冑を着ていない武人十数人を見た
- 一人が手傷をおっていて、全員が得物を持っていた
- 疲れた風で足を引きずりながら山へ入っていた
- そこうの東、北の斜面を東に向かっていった
- 手傷をおった一人 肩は借りていたが自力で歩いていた
- 南斗で荷物を見た あたりを憚り大きな荷物を車で曳いていた
- 東南にむけて
- 銀川
- 武器を集める里
- 街の中は荒んだ様子がない
- 戻る途中襲われる李斎達
- 簡単に撃退するが 物資を隠している という話しか聞き出せなかった
- 静之
- 上官は死亡
- 大怪我をし助けられ匿われていた
- 最近になって折をみてでかけていた
- 6年前 函養山で完全に透明な陽翠の琅玕(翡翠)赤子ほどの大きさのものが一対
- 篁陰こういんと呼ばれていた
- 発見された荒民は殺され その後、急に豊かになった里があった
- その里は焼き討ちされ 銀川ともう一つの里が豊かになった
- 李斎
- 瑞州、阿選新王の報をうける
- 阿選は公式に布告ができない
- 瑞雲観、石林観の対立
- 天三道がきょう王に保護されていたため瑞州と距離が近かった
- 阿選と通じているという誤解
- 噂はあるが王宮か同観にしかまだひろまっていない
- きょし ちらりと見えた女の顔に見覚えがあった
- 神農にも同じ情報が流れていた
- 付近の山でいきだおれているのを里の木こりが拾った
- 驍宗が消えてから半月
- 刀傷らしい複数の傷、山野をさまよってでいた無数の傷、生きているのが不思議なような深手
- せいしが最後にあったのが夏の終わり
- 意識が戻るまで随分かかり、そこから話せるようになるまで1ヶ月
- 泰麒と別れたのと武将が死んだのが同じ時期
- 回生
- 夏頃から大人が薬(毒?)を入れていた 体は回復していたから
- でなければ急にこんなことになるはずない
- もらった懐剣はおそらく冬器
- どこに向かうのか
古い戯れ歌について
第一巻で出てきた戯れ歌が歌われた場面は3つ。それぞれに第二巻でも記載がありました。
- 6年前に大怪我をして匿われている人物@文州老安
- 死亡。驍宗と目されている。
- 回生が懐剣をもらう。他のものとは違う出来。
- 里には兵卒くずれが達がいる。←武器をあつめた5人?
- 若者と宰領(おやかた)と言われる人物と火を囲む歌を歌う人物@文州
- 神農に拾われた静之。李斎と合流済。
- 暗闇にうずくまる人影@函養山? 文州東部瑶山
- 供え物は続いていた。供え物をしていた家族の姉が死亡。
見ていると3の人物が驍宗なのではと思えてきます。
陽子の例で仙であれば飲まず食わずでも死ぬことはないとはないということなので週1回でも食事が取れていれば命は続くのではないかと。
李斎達惜しい所まで来ているのに空振りすぎる・・・。
ちなみにのこ歌、実在する「戦城南」というものみたいです。
そういえば崑崙から伝わったとか書いてありましたね。
委州の反乱
張運に委州で謀反の報が届いていましたが、その対応を見ると苛烈な誅殺を指示していたのは張運達だったことになりそうですね。阿選が最初にやったのを踏襲しているだけなのかもしれませんが。
反乱に関して詳細はのっていなかったので、民の反乱なのか州侯も関わる反乱なのかはわかりませんが、李斎達半阿選勢力が集結できるのかどうか第三巻以降に期待です。
赴葆葉、牙門観の目的
赴葆葉という豪商がでてきました。
- 牙門観の普請にご執心
- 鑑札のない闇玉を荒民から違法に買い取り
- 牙門観の中で禁止されている鉱石の精製(をしてそう)
- 牙門観自体が城のような造りでなにかに備えているよう
- 訪ねた李斎たちに監視をつける(ただし素人)
疑惑のオンパレードですが、味方なのか敵なのか。
武器にかかわる冬官長が一切でてきていないので、この中で武器が作られている可能性があるのかな?と思いましたがその場合は阿選軍が利用するための武器となるのでしょうね。
驍宗が持っていたとされる身を守る宝重
李斎の発言の中に、「身を守る宝重を驍宗が持っていた」とありますがどういったものなのでしょうか。前後の会話からすると大怪我をしても回復してくれるような、慶国の碧双珠のようなものとも受け取れますが、身を守るっていう言い方が引っかかります。
現代で身を守るって思いつくのがブザーとかスプレーとかスタンガンとかの防犯グッズになってしまうんですけどw
例えば影武者を作れるとか、そういうのだったら、老安で死んだ人物の風貌にも納得が行きますよね。
黄昏の岸 暁の天で琅燦が言っていた王か麒麟しか使えない戴国秘伝の宝は呉剛環蛇みたいな移動系のものだとおもいます。
天三道(石林観)または白幟の目的
白幟巡礼の理由
函養山の神仙が蘇る→道のない山に入り込んで神仙が蘇っていないか調べる
読者から見ると驍宗探してるんでしょ?って事に読めてしまいますよね。
3巻のネタバレ感想も書きました。
驍宗の安否についてもまとめました
コメント
はじめまして。新刊のご感想、とても楽しみながら拝見させて頂きました。今回は登場人物と出来事があまりにも多いので、このように話を分かりやすくまとめて頂けると非常に助かります!
本編はさらっと一読しただけなので考察には程遠い妄想になるのですが…
謎の少女・揶利が飛ばした青鳥は驍宗の故郷である「委州」に向かったのではないか?と思いました。2巻295頁で近年大人しくしていた委州が再び謀反ありと張運たちに知らせがきますが、きっかけはあの青鳥だったのではないかと(鳥を飛ばしたのも1巻の宮中内で「泰麒帰還&新王阿選」騒動直後だったので)。
委州に驍宗側の誰かが、あるいは驍宗本人が潜伏していて、揶利の主「主公」と繋がりがあったらもしやと予想していますが、委州が白圭宮から北の方角に存在したかうろ覚えなのでやはり妄想の範疇を越えません…
長文となりお目汚し申し訳ありません。3、4巻のご感想も楽しみにお待ちしております!!
コメントありがとうございます。
情報量は膨大で謎は深まるばかりで大混乱ですよね〜。
いろいろ考えるのも3巻4巻の発売日までと思って楽しんでいます。
コメントいただいて確かに委州の位置関係がわからない!と思って調べてみました。
瑞州の東に位置するようです。
あのタイミングでの委州で乱なのでやっぱり驍宗麾下の関係者が主導してそうですよね〜。