治療薬として承認されるという話もでてきたので新たに承認状況をまとめました。
暗いニュースばかりなので希望の持てるニュースを集めてみました。
なるべく元のソースを探すようにしています。
4月6日 3種類(アビガン、ナファモスタット、イベルメクチン)
4月7日 オルベスコを追加
4月10日 アビガン、米国で臨床試験開始
4月13日 レムデシビルを追加
4月16日 アビガン(ファビピラビル)投与の症例を追加
4月17日 トシリズマブ(アクテムラ)を追加
4月20日 日本感染症学会が発表したアビガン投与症例を追加
4月23日 レムデシビル、日本で臨床試験開始の記事を追加
引き続き情報集めていきます。
アビガン(商品名:ファビピラビル)
富士フィルム開発の抗インフルエンザ薬。感染後、ウイルスが増殖するのを阻害します。
新型コロナウイルス (COVID-19)にも効果が期待されていて3月31日から臨床試験が実施されています。
2020年3月31日
抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」新型コロナウイルス感染症患者を対象とした国内臨床第Ⅲ相試験および生産体制に関するお知らせ – 富士フイルム富山化学株式会社
富士フイルム富山化学は、今回の国内臨床第Ⅲ相試験で、COVID-19患者を対象に「アビガン」投与時の治療効果と安全性を確認していきます。
また富士フイルム富山化学は、「アビガン」の増産準備を進め、すでに生産をスタートしています。今後、富士フイルムグループは、日本政府および各方面からお寄せいただいているニーズにお応えするため、国内外のパートナーとの連携体制を構築し、増産を加速させていきます。
富士フイルムグループは、政府とも連携し、COVID-19の感染拡大の抑止や流行の終息、さらには今後の公衆衛生の向上に貢献していきます。
2020年4月9日
抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」 米国で新型コロナウイルス感染症患者を対象とした臨床第II相試験を開始 – 富士フィルム富山化学株式会社
ますます高まる治療法の開発ニーズに対応するために、米国でも臨床試験を実施します。本試験は、数十例のCOVID-19患者を対象とした臨床第II相試験で、「アビガン」投与時の治療効果と安全性を確認することを目的としたものです。
尚、本試験は、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院やマサチューセッツ総合病院、マサチューセッツ州立大学メディカルスクールの3施設での実施を予定しています。
2020年4月2日
富士フイルム、新型コロナに対する「アビガン」の治験の詳細が明らかに 目標症例数に変更無ければ2020年6月末にも終了見込み – 日経バイオテク・オンライン
第3相臨床試験の用法・用量は、1日目のみ1回1800mg×2回、2日目以降は1回800mg×2回で、最長14日間、経口投与する。国内で新型または再興型インフルエンザウイルス感染症を対象に承認されている用法・用量は、1日目は1回1600mg×2回、2日目以降は1回600mg×2回で、総投与期間は5日間のため、投与量を引き上げ、投与期間も長くする格好だ。
既に被験者の募集を行っている。目標症例数が現状の96例のまま変更がなければ、2020年6月末にも第3相臨床試験が終了する見通し。富士フイルムは「データ解析後、速やかに国内で承認申請したい」(広報担当者)考えだ。
早くても7月以降となるみたいですが、国内ですでに使われている薬なので実績出れば新薬よりは早く現場投入できそうですね。
とはいえ、副作用として催奇形性が認められているので妊婦やこれから妊娠を望む男女には注意が必要です。
4月10日追記
米国でも臨床試験がはじまったそうです。
2020年4月13日
当院における COVID-19 診療 11 例の経験 -ファビピラビル投与を行った肺炎例を中心に
ファビピラビル早期投与については、自覚症状が速やかに改善し、安全性からも大きな問題はなく、COVID-19 に対して有望な薬剤と思われた。しかしながら、少数例での検討であることと、評価指標の問題があり、治療薬の効果を判定するのには限界がある。
(略)
ファビピラビル投与の実際にあたっては、適応外投与として注意深い観察を要する他、催奇形性とのリスク・ベネフィットについて十分に配慮する必要がある。
2020年4月15日
発症 8 日目にファビピラビルを投与し、翌日から急速に改善した COVID-19 肺炎の 1 例
発症 8 日目に悪化傾向にあった基礎疾患のないCOVID-19 肺炎症例にファビピラビルを投与したところ、急速に改善し投与 5 日目にウイルスは検出されなくなった。ファビピラビル単独投与で治療効果が得られる可能性が示された。
4月16日追記
日本感染症学会のページにアビガン(ファビピラビル)投与の症例が掲載されていました。
読むと投薬後症状改善している例が多いみたいなので希望が持てますね。
しかしながら催奇形性の副作用あることから若年層への投与には注意が必要とのことです。
4月20日
日本感染症学会・新型コロナWebシンポ アビガンは重症患者6割、軽中等度で9割改善 – ミクスonline
新型コロナウイルス感染症にファビピラビル(製品名:アビガン)を投与したところ、投与開始14日後に重症患者の6割が改善、軽症や中等症では9割の患者で改善が認められた―。藤田医科大学微生物学講座・感染症科の土井洋平教授が4月18日に開催した日本感染症学会のWeb特別シンポジウムで迅速観察研究の結果を報告した。研究は、全国約200医療機関が参加し、中等症から重症患者を中心に登録が進められている。
(略)
ファビピラビル投与後の転帰を、主治医の主観で「改善」、「不変」、「増悪」にわけて評価した。軽症では投与開始7日後に70%、14日後には90%に改善が認められた。中等症では投与開始7日後では66%、14日後では85%だった。重症でも投与開始7日後に41%、14日後には61%が改善した。ただし、重症例では「悪化」が投与開始7日後で34%、14日後では33%だったとしている。なお、軽症は酸素投与がない患者、中等症は酸素は投与しているが機械換気がない症例、重症は機械換気がある症例と定義している。
ナファモスタット(商品名:フサン)
膵炎の急性症状を抑える薬であるナファモスタット。
新型コロナウイルス (COVID-19)の感染を阻害する効果があるとのことです。
2020年03月18日
新型コロナウイルス感染初期のウイルス侵入過程を阻止、効率的感染阻害の可能性がある薬剤を同定 – 東京大学医科学研究所
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスである SARS-CoV-2が細胞に侵入する最初の過程であるウイルス外膜と細胞膜との融合を、安全かつ定量的に評価できる膜融合測定系を用いて、セリンプロテアーゼ阻害剤であるナファモスタットが、従来発表されている融合阻害剤に比べて10 分の1以下の低濃度で膜融合を阻害することを見いだした。
膵炎などの治療薬剤として本邦で開発され、すでに国内で長年にわたって処方されてきた薬剤である。ナファモスタットは臨床では点滴静注で投与されるが、投与後の血中濃度は今回の実験で得られたSARS-CoV-2 Sタンパク質の膜融合を阻害する濃度を超えることが推測され、臨床的にウイルスのヒト細胞内への侵入を抑えることが期待される。カモスタットは経口剤であり、内服後の血中濃度はナファモスタットに劣ると思われるが、他の新型コロナウイルス薬剤と併用することで効果が期待できるかもしれない(本研究は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による感染症研究国際展開戦略プログラム(J-GRID)の支援を受けた)。
2020年4月3日
新型コロナウイルスの感染阻止を期待できる国内既存薬剤を同定 – MONOist
また、既にSARS-CoV-2に対する有効性が発表されており、ナファモスタットと類似のタンパク質分解阻害剤である「カモスタット」の作用と比較検討したところ、ナファモスタットはカモスタットの約10分の1の濃度で阻害効果を示すことが明らかとなった。
ナファモスタットとカモスタットはともに、急性膵炎などの治療薬剤として国内で長年にわたり処方されてきた。安全性については十分な臨床データがあり、速やかに臨床治験を行うことが可能だ。
長年国内で急性膵炎の薬として利用されているということで、こちらもすぐに現場投入されることが期待されます。
感染を阻害するということなので、こういった薬が最前線で働く医療従事者に早く届けられるよう担って欲しいです。
イベルメクチン(商品名:ストロメクトール)
寄生虫治療薬として使われているイベルメクチン。
試験管内の実験において新型コロナウイルス (COVID-19)の増殖抑制の効果を確認できたとのことです。
2020年4月4日
実験室での実験では、抗寄生虫薬のイベルメクチンが48時間で細胞内のSARS-CoV-2を排除することが示されています – モナッシュ大学(機械翻訳)
実験室環境で有効であることが示されていますが、イベルメクチンは、人間の安全なレベルでの薬物の有効性を確認するためのさらなるテストと臨床試験が完了するまで、COVID-19の人間では使用できません。COVID-19と戦うためのイベルメクチンの潜在的な使用は証明されておらず、作業を次の段階に進めるための資金に依存しています。
2020年4月6日
新型コロナ「1回投与で48時間でウイルス99%減少」豪研究 – ハザードラボ
豪州モナッシュ大学の研究グループは今月3日、既存の寄生虫治療薬「イベルメクチン」を1回投与した結果、試験管内のウイルスが48時間以内に増殖しなくなったと発表した。
「イベルメクチン」は、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授が発見した新種の菌から開発された抗寄生虫薬で、「ストロメクトール」の商品名で承認されている。
これから人への臨床試験となるようですが、こちらも今まで利用されていた薬となるので効果が確認できれば早くに現場投入できるのではないかと思います。
オルベスコ(商品名:シクレソニド)
吸入ステロイド喘息治療薬オルベスコ。
新型コロナウイルス (COVID-19)感染早期~中期の重症化抑制が期待されています。
2020年3月10日
臨床研究等に向けたシクレソニド吸入用製剤の供給について – 帝人ファーマ
厚生労働省健康局結核感染症課より要請を受け、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬の検討に資するべく、当社が製造販売承認を有します吸入ステロイド喘息治療薬(一般名:シクレソニド)の供給体制を確保いたします。
2020年4月3日
アビガン、オルベスコ…新型コロナウイルスによる肺炎…待たれる「治療薬」の開発はいかに – Esquire
しかし、2015年に韓国でCOVID-19と同じコロナウイルス感染症であるMARSがアウトブレイク(一定期間内に限定された場所で、予想以上に感染症が発生すること)した際に治療薬の候補として取り上げられていた。
国内ではダイヤモンド・プリンセス号の患者を受け入れた第二種感染症指定医療機関の神奈川県立足柄上病院において、COVID-19早期~中期の患者3人に投与。良好な結果が出たとの報告がある。
同剤は吸入後に体内で代謝されてから作用を発揮する「プロドラッグ」で、ターゲットとなる臓器(この場合は肺)表面に有効成分がとどまるため、全身性の副作用が出にくい特徴がある。
”シクレソニドは吸入タイプのステロイドで免疫抑制に働くため、本来であれば有効な抗菌剤や抗ウイルス剤が存在しない感染症の患者に対する使用は「禁忌」である”ということなのでどれくらいの効果があるのかは不明ですが、厚労省主導でアビガンなどの薬と合わせて検証がすすめられているようです。
2020年4月2日
新型コロナウイルス感染症に対する厚生労働科学研究班等への協力依頼について(その2) – 厚労省
レムデシビル
国内未承認のエボラ出血熱用の薬として開発されたレムデシビル。
後に一本鎖RNAウイルス(RSウイルス、フニンウイルス、ラッサ熱ウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、コロナウイルス(MERSおよびSARSウイルスを含む))に対して抗ウイルス活性の効果があることがわかったそうです。
2020年3月23日
COVID-19 に対するRemdesivir の安全性および有効性を検証する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較臨床試験について – 国立国際医療研究センター
国立国際医療研究センターは、全国のCOVID-19と診断された方に参加して
いただき、重症化する方の特徴や経過、薬剤投与後の経過など、COVID-19
に関する様々な点について明らかにすることを目的とした観察研究(レジス
トリ)を開始しました。
• 本研究で得られる情報から、国内における患者さんの臨床経過や様々な治療
効果について分析を行うことで、将来の治療法の開発や新薬などの迅速な開
発の基礎データとなることを期待しています。
2020年4月10日
Compassionate Use of Remdesivir for Patients with Severe Covid-19 – New England Journal of Medicine
レムデシビルで治療された重度のCovid-19で入院した患者53人うち36人(68%)に臨床的改善が観察されました。(機械翻訳)
重症患者の約7割が改善しているという報告があったようです。
日本では国立国際医療研究センターで治験が進められているようなのでこちらの結果も気になるところです。
2020年4月16日
ジレイド社のコロナウイルス治療薬のデータを早期に公開 患者さんが治療に反応していることを示唆 (機械翻訳)- STAT
シカゴ大学医学部では、ジレイド社の2つの第3相臨床試験にCOVID19の患者125人を募集した。(そのうち113人が重症化)すべての患者にレムデシビルの毎日の輸液が投与されている。
“最高のニュースは、ほとんどの患者さんがすでに退院されていることです。シカゴ大学の感染症専門医で、同病院でレムデシビルの研究を監督しているKathleen Mullane氏は次のように述べています。
125人(うち113人が重症)の新型コロナウイルス患者にレムデシビルを投与したところ、熱や呼吸器の症状が改善し、1週間以内にほぼ全ての患者が退院、死亡したのは2人のみだったとのことです。
期待できる報告ですね。
2020年4月14日
ギリアド・サイエンシズ COVID-19 治療薬として開発中の remdesivir の 第 III 相臨床試験を開始 – ギリアド・サイエンシズ
ギリアド・サイエンシズ株式会社(以下「ギリアド」、本社:東京都千代田区、代
表取締役社長ルーク・ハーマンス)は、中等度・重度のCOVID-19(新型コロナウ
イルス感染症)患者を対象にremdesivirの安全性と有効性を評価する、2件の国際共
同無作為化第III相臨床試験から成る試験プログラムである「SIMPLE試験」を、日
本の複数の医療機関で実施し、4月14日よりremdesivirの投与が開始されたことを
発表しました。
remdesivir は世界のいずれの国においても認可・承認されておらず、いずれの適応
でもその安全性や有効性は確立されていません。(略)
現在、remdesivirがCOVID-19の治療薬となる可能性を検討しており、開発を早急に
進めています。SIMPLE 試験を通じ、remdesivir の安全性と有効性に関する重要なデ
ータが、この数週間のうちに得られる見込みです。ギリアドは世界中の remdesivir
の臨床試験を支援しており、日本での臨床試験を迅速に開始できるようお力添えく
ださった厚生労働省に感謝を申し上げます。」と述べています。
治験実施施設の 1 つである、横浜市立市民病院 感染症内科 立川夏夫医師は、「新
型コロナウイルス感染症においては、まだ明確な治療薬の確立がなされていません。
治療の確立は感染者の健康回復のみならず、“treatment as prevention(治療による
予防)”として、新型コロナウイルス感染症の蔓延への重要な対策にもなります。
今回、臨床試験として remdesivir の効果を明確にすることは、新型コロナウイルス
感染症対策において最も重要な研究の 1 つであると位置づけられます。」と述べて
います。
複数の施設で治験がはじまってるようですね。来月(5月)には有効性に関するデータが公表されるとのことです。
トシリズマブ(商品名:アクテムラ)
関節リウマチの薬として使われているトシリズマブ(商品名:アクテムラ)
肺炎が重症化して呼吸できなくなるケースを治療する薬として注目されています。
新型コロナウイルスSARS-CoV-2感染症であるCOVID-19に伴う致死的な急性呼吸器不全症候群は、免疫系の過剰な生体防御反応であるサイトカインストームが原因であると考えられる。
サイトカインストームは、遺伝子の転写因子であるNF-kBとSTAT3の協調作用により、免疫関連タンパク質であるインターロイキン6(IL-6)の増幅回路(IL-6アンプ)が活性化され、炎症性サイトカインの産生が異常に増加し起こる。
COVID-19にみられる急性呼吸器不全症候群の治療薬の標的としてIL-6 アンプが有望であり、IL-6-STAT3経路の阻害が有効であることを示唆した。(略)
COVID-19に生じる致死的な急性呼吸器不全ARDSはサイトカインリリース症候群CRSであり、CRSを治療することができれば新型コロナウイルス感染症、COVID-19も恐ろしい病気ではなくなる。治療薬開発の有望な標的としてTMPRSS2、ACE2、AT1R、ADAM17、TNFaそしてIL-6アンプで重要な役割を果たしているIL-6-STAT3経路などが考えられる。特に、感染後期に見られる致死的なARDSの治療には、すでにCAR-T治療におけるCRSの治療に使用されており、かつIL-6アンプを阻害できる抗IL-6受容体抗体も有望である。
2020年4月8日
アクテムラ、新型コロナウイルス肺炎を対象とした国内第III相臨床試験の実施について – 中外製薬
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ®点滴静注用80 mg、同200 mg、同400 mg」[一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え)](以下、アクテムラ)について、新型コロナウイルス肺炎(以下、COVID-19肺炎)を対象とした国内第III相臨床試験を実施しますのでお知らせいたします。
本日、日本国内における重症COVID-19肺炎の入院患者を対象とするアクテムラの第III相臨床試験の実施に向け、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に治験届を提出しました。今後試験の詳細を確定の上、速やかな患者登録の開始を目指します。(略)
アクテムラは、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、当社創製の国産初の抗体医薬品です。国内では2005年6月に販売を開始し、点滴静注製剤では関節リウマチをはじめ6つの適応症(キャッスルマン病、関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎(sJIA)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎(pJIA)、腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群、成人スチル病)、皮下注製剤では3つの適応症(関節リウマチ、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎)で承認を取得しています。現在、世界110か国以上で承認されています。
重症化を抑えることができるようになれば病床不足、医療崩壊を防げるようになるかもしれません。
こちらも既存薬の流用ということでいい結果がでて現場投入できたらいいですね。
コメント